《響け! ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部、決意の最終楽章 前編》简介:

宇治高校吹奏楽部の活躍を描いた、人気青春小説シリーズの最新作。

久美子たちは三年生となり、部長=黄前久美子、副部長=塚本秀一、

ドラムメジャー=高坂麗奈の新体制で新・北宇治高校吹奏楽部は始動する。

またもや少々クセのある新入部員に加え、今年は強豪・清良女子からの転入生である

三年生のユーフォニアム奏者、黒江真由が入部したことにより、部内にまたもや波乱が巻き起こる。

はたして久美子たちは悲願の「全国大会金賞」を成し遂げることができるのか……?

4月19日からシリーズの映画『劇場版 響け! ユーフォニアム 誓いのフィナーレ』も公開!

シリーズ累計145万部突破の大人気シリーズ、いよいよ完結編です。

《響け! ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部、決意の最終楽章 前編》摘录:

「楽しそうですねぇ」  片頬に手を添え、奏がクツリと喉奥を震わせる。 「そうだね。今年はみんな、仲がいい」 「去年と違って低音に大きな問題はありませんでしたからね。一年生はみんな、素直で明るい子ばかりです。私 みたいに」 「よく言うよ」 ユーフォのベルを靴の先端にのせるようにして置く。金色のユーフォニアムは、日向で見ると傷がよく目立つ。あとで磨いておかなければ、と久美子はラッカーの剥げた管をなでた。 「久美子先輩は、部長になって少し変わりましたね」  奏が言った。久美子はベルを見下ろしたまま、「そうかな」と曖昧に答えた。 「でも、いまの久美子先輩も私は好きですよ?」 「それはありがとう」 「あ、もしかして信じていませんね? 私がせっかく勇気を振り絞って先輩への好意を伝えているというのに、こんな幼気な後輩を信じてくれないなんて」  しくしくとわざとらしく泣き真似を始めた後輩に、久美子は失笑した。この会話の流れは、もはやお約束みたいなところがある。 「奏ちゃんのこと、ちゃんと信じてるよ」 「それならいいんです。先輩が人を見る目のある方でほっとしました」 「……奏ちゃんはあんまり変わらないね。一年生のころから」 「お褒めの言葉として受け取っておきますね」  うふっ、と奏が甘ったるくウインクを飛ばす。