初の図面集となる本書では、図面のみでの表現でアトリエ・ワンのデザインを“解剖”することを試みます。通常、建築書などの理工書では“図面”をまとめたものは“図面集”と称するのが常ですが、今回、本書のタイトルを“図解”としているのには、次の思いが込められています。
「図解は写真のように写実的であるが、写真とは違った感興を呼ぶ。要素を輪郭によって捉え、その輪郭内を水彩で着彩し、ときに文字を書き込む。その手法の徹底が、驚嘆すべき細部を伴った図を生み、観察する対象の多様性を浮き上がらせる。図解において細部を一つひとつ描き分けることは、人間がそれを見る事ができたという達成の証であると同時に、人間の眼差しが対象によって導かれたという証でもある。そういう図解の持つ、主体の開放と観察の誠実によって、アトリエ・ワンによる住宅作品を一覧するのがこの本の趣旨である」(序文より)
この「図解」の手法を用いることにより、建築を学ぶ学生にはデザインやディテールを読み解く参考書となることはもとより、建築が専門ではない一般の読者にも、絵本を見ているような感覚でアトリエ・ワンの建築の魅力が伝わってきます。
いまアトリエ・ワンのディテールがベールを脱ぎます。