本書は、十世紀半ばから十四世紀半ばまでの中国仏教の文化史的研究を主としたものである。表題を宋元としたが、宋代のなかには遼金の華北領を含んでいる。周知のごとく、契丹族の遼は長城以南のいわゆる燕雲十六州を領有し、ついで興った女真族の金は華北一円を支配して南宋と対峙した。それらの領内では漢人が生活し、伝統的な漢文化が行われていた。そこで、この時代の中国全体の社会、文化の流れをつかむためには、南北両宋とともに、少なくともこれらの地域もあわせて見ていかねばならない。したがって、厳密には宋・遼・金代とすべきであるが、本書ではこの時代をまとめて宋代とした。